

日本文化の粋である、経済産業大臣指定伝統工芸品「堺打刃物」。この伝統的な技法「鍛造」は、武士の使っていた刀を造る技術と同じものです。
伝統工芸士である職人が一本一本手仕事で造り上げた和包丁に、彫師が一つ一つ手彫で時間をかけ丹念に仕上げた物が、龍虎刻印和包丁です。
古来より日本では刃物は「未来を切り拓く」、「悪いものを断ち切る」縁起の良いものとして王室や皇室の祝事や贈答に広く使われています。
また、一般的にも結婚式でのケーキカットや、開店なんどの慶事でのテープカットなど、縁起行事として行われております。
龍虎刻印和包丁は、日本の刃物の街 大阪 堺で造られてております。堺の和包丁は六百年の歴史をそのまま受け継いだ手造りの為、日本全体での包丁シェアでみると約10パーセントですが、シェフや寿司屋さんの板前さんなど、料理人に限定すると、90パーセントの料理人が使っていると言われております。その為、切味は世界一とも言われております。
また、その大阪 堺の中でも、国に認められた伝統工芸士が造る包丁は数が限定され希少なものとなっております。(伝統工芸士が造った包丁には伝統工芸マークが付与されます。)
以下に、龍虎刻印和包丁の特徴をご紹介しております。
是非、ご自宅、事務所、お店などに飾って頂き、
六百年の伝統と格式を感じて頂ければと思います。
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龍虎刻印和包丁
堺の街の包丁づくりは分業制が有名です。
具体的には、鍛冶屋の「鍛造」、研ぎ師の「刃付け」、問屋の「柄付け」、彫師の「銘切り」です。
それぞれの工程をすべて手作業で分業で行う事で、最高の物を作り上げます。
何に関しても一人ですべてを最高に仕上げるというのは難しいものです。運動も一流、芸術も一流、仕事も…といった人は世の中にほとんどいません。
世の中でプロ(一流)と呼ばれる人は、その道を突き詰め極めた人たちです。
同じように和包丁も、鍛造、研ぎ、柄付け、銘切、全てに長けた人はおらず、この大阪 堺の分業制は、理に適った製作方法だと言わざるをえません。御蔭で堺の和包丁の品質、切れ味は全国に響き、今では料理人の包丁シェア90パーセントと言われております。



□こだわりの鋼
和包丁の鋼を知る上で、安来鋼についてご説明いたします。
和包丁に使われる鋼には、色々な種類があります。一般的には、JIS基準のSK鋼材が使われております。しかし、高級和包丁には日本の伝統的技術の代表ともいうべき日本刀に使われる、砂鉄を原料とした『和鋼』を使用して造られております。その「和鋼」を原料に開発されたものが「安来鋼」です。安来鋼には「黄紙」「白紙」「青紙」と呼ばれる、種類があり、さらに炭素の量に応じて一号~三号の種類に分かれています。

安来鋼の「黄紙」は、一般的な家庭用刃物に使われるJIS基準のSK材から、不純物を取り除いたものになります。黄紙からさらに不純物を取り除いた物が「白紙(二号)」です。
手打ちの仕事による鍛錬と熱処理によって、切れ味が良く研ぎ易い刃物になる素晴らしい素材です。
そこからさらに炭素量を増加したものが安来鋼白紙一号です。
次に白紙二号にタングステンやクロムを添加して、熱処理特製及び耐磨耗性を改善したのが青紙(二号)です。耐摩耗性があり、切れ味が長持ちする素材となります。さらに炭素量を増加したものが青紙一号になります。
白紙、青紙(特に一号)は、鋼材自体は珍しくないのですが、この鋼材が持つ本当の価値を出せる包丁職人が堺でも数人と少なく、それゆえ白紙、青紙の包丁は非常に稀少な価値のある包丁となっています。
□龍虎刻印和包丁に使われる鋼
龍虎刻印和包丁に使われている鋼は、青紙・白紙を使用しております。青紙・白紙鋼は前述の通り、鋼の特性上(硬い鋼材の為)非常に造る事が難しく(特に焼入れ)、熟練の職人でしか造れないと言われております。その為、究極の切れ味を求めない限りわざわざ使う必要ないともいわれるほどです。


なぜそこまで、切れ味が必要なのでしょうか?それは、日本食という文化にさかのぼります。
日本食、特に刺身のような食品の場合、切れ味のよい包丁で料理し、切り口の繊維質が立ち、光沢がでる事が大切な条件です。
なぜなら、日本食において、「美味しい」という事は「デリシャス」でなく、「ビューティフル」でなければならないからです。見た目で料理が美しく調理され、盛り付けられているという「美」が存在する事が前提に日本食は作られているからです。その為、日本食に和包丁は必須であり特に高級包丁は切れ味が求められてきたのです。
その一級の切味を龍虎刻印和包丁は持ち合わせています。日本刀のような本物の切れ味を出せるからこそ、芸術品としての価値をより一層引き立たせます。
□鏡面仕上げ
一般的な包丁の仕上げの中でも、最も手間のかかるといわれる鏡面仕上です。龍虎刻印和包丁は、最高の素材、職人で造り上げた包丁の為、実際に使用して頂く事も出来ますが、日本の伝統文化の粋を集めた、芸術作品として鑑賞用にして頂く事が一番かと思います。
その為、一度和包丁として仕上げた後に、刃を鏡のように磨き上げ、その上に、刻印を彫り込んで行きます。
□こだわりの刃付け
青紙は一般的な鋼に比べて非常に硬く一般的な和包丁に比べ刃付けが難しいと言われております。
また、青紙の鍛造を出来る職人も限られているのと同じく、鍛冶屋から上げってきた、青紙に刃付けが出来る研ぎ師も限られています。それが揃って、初めて最高の切れ味の包丁が完成するのです。



□こだわりの柄
福龍包丁の柄は、本黒檀で出来ています。
黒檀は世界で最も良質の木とも言われており、堅くて強靱、半永久的な耐久力、肌理の緻密さ、油脂感触の出る光沢により、彫刻、、高級家具材、楽器等に適し、古くから珍重されています。しかし、堅さがあるという事は、切削は極めて困難となります。その為、和包丁で使われる場合も、高級和包丁のみで使われており貴重な柄です。
□芸術品としての銀巻黒檀柄
プレゼントやご自身の特別な記念日の為などには、更に特別仕様に仕上げる事も出来ます。黒檀柄はそのままに、口金に貴重な天然の水牛の角を使用し、アクセントに純銀を巻いて仕上げております。
刃の鋼も含めて全て天然の素材を活かしております。
また、最高級特別仕様の本黒檀柄 総銀巻仕様(写真)も御座います。こちらは裏に純銀の刻印も入ております。

□こだわりの彫
そんな高級和包丁の最終工程、仕上げを担当するのが、彫師の「銘切り」です。
「銘切りというのは二文字くらいであれば、それさえ覚えれば、それほど難しくないと思います。しかし、お客様からの名前を入れたり、ローマ字など個別の注文が入ると難しくなります。
銘切りは、失敗は許されない。刻んだものを消すことが出来ないからです。出来上がった包丁の最期の仕上げです。 銘は、その包丁の顔であり、シンボルです。包丁は使えば切れるものですが、銘は、顔と同じなのだと思っています。したがって、銘は、第一印象が大切であり、ずっと心に残る物であります。
見た瞬間に美しいという感動が求められるものなのです。」と、職人が話してくれました。
その感動をさらに突き詰めたものが、龍の彫り込みなのです。
職人たちの技術を集め、時間と情熱をかけて出来上がった、和包丁に最期に彫込みを行います。
想像してみて下さい。数十万円の包丁に間違える事の出来ない上、彫り込みで龍を描く事を…。
まさに職人の技術の粋を集めた、日本文化が誇る芸術作品です。
しかし、残念な事に刃物の街と言われる大阪 堺でもこの彫刻が出来る職人はほとんどいなくなってしまい、現在本職で続けている職人は、一人だけとなってしまいました。その為、年間に出来る数も限られ、いずれはこの龍虎刻印包丁を仕上げる事は出来なくなります。
そういった点で大変希少なものとなり、近年飛躍的に価格が上がってしまっております。結果、日本の誇るべき文化を多くの人の手元に届けることが出来ないのは、大変残念に思います。


□日本経済産業大臣 指定伝統的工芸品
日本経済産業大臣 指定伝統的工芸品とは?
日本に昔から伝わる技術で、職人が手作りでつくりあげたもの、それが伝統工芸品です。また、数ある伝統工芸品のなかでも、100年以上の歴史を有し、現在も継続しているものを、経済産業大臣が指定したものをさします。
堺打刃物は600年の歴史と、日本国内の料理人シェア90%という実績、そして何より職人の手造りによる製造工程が評価され指定伝統工芸品に指定されております。
堺の伝統工芸士の作ったものには、左の伝統工芸マークの入ったシールが貼付けられております。堺の伝統工芸士の人数は限られており、更に職人の数は年々少なくなっております。一人の職人が造る事が出来る包丁の数は限られているので、今後さらに貴重なものになると予想されます。